第55回
2026/8/7
人事部・総務部・経営企画ご担当者様
あなたの組織でも、こんな声が上がっていませんか?
「評価シートの記入・集計に毎期 数十〜数百時間を費やしている」
「目標設定の書き方が部門によってバラバラで、比較できない」
「評価結果への納得感が低く、優秀な人材ほど不満を抱えて辞めていく」
「制度は整っているはずなのに、結局評価者の主観で決まっている気がする」
「自社の評価制度が時代の変化(ジョブ型・人的資本経営)についていけていない」
これらは決して特殊な悩みではありません。2025年のDeloitte調査では、マネージャーの61%・従業員の72%が自社の人事評価プロセスを「信頼していない」と回答しています
出典:先を行く人事&財務のためのAIプラットフォームでHRモダナイゼーションを推進 | Workday 日本
年に一度の「儀式」と化した評価制度は、もはや組織の成長を支えるどころか、人材流出を加速させるリスクにさえなっています。
人事評価AI市場、2030年までに6,330億円超へ急拡大
MarketsandMarketsの2025年最新レポートによると、AI搭載の従業員パフォーマンス管理(EPM)市場は2025年の約3,520億円規模から、2030年には6,330億円超へと年率12.4%で成長すると予測されています。
Adobe・Accenture・Deloitte・Microsoftといったグローバル企業がすでに年次評価から「継続的フィードバックモデル」へ移行しており、従来型の企業と比べてエンゲージメントおよびタレント開発の速度において明確な差が生まれています
出典:SAP, Oracle Lead the Charge as AI-Driven Performance Management Market Targets USD 6.33B by 2030
ServiceNowが提供するNow Assist for HRは、従業員やマネージャーがチャット・モバイル・検索など好みのチャネルから自然言語で問い合わせるだけで、タレント開発・目標管理・評価関連の業務をAIが完結させる仕組みです。
2025年5月には新たなAIエージェント群を追加展開し、オンボーディング計画の自動作成・人事ケースの自動解決・問い合わせトリアージの自動化などが可能となりました。
出典:Generative AI for HR, AI Agents for HR
マネージャーは評価の「入力作業」から解放され、本質的な対話と意思決定に集中できる環境が実現しています。
Workdayは2025年9月、「Illuminate for HR」シリーズに新たなPerformance Agentを発表しました。
このエージェントは複数の企業システムにまたがる評価データを自動的に収集・分析し、評価レビューの推奨アクションを提示します。
同シリーズのFrontline Agentはスタッフィング変更の管理工数を最大90%削減、Financial Audit Agentは監査エビデンス収集・報告を自動化して早期アクセス顧客が年間最大900時間を節約した実績があります。
出典:Workday Illuminate™ Expands with New AI Agents for HR, Finance, and Industry - Sep 16, 2025
McKinseyの調査では、2024年時点でグローバル企業の65%が生成AIを業務に定期活用しており、人事評価領域での適用は今や「先進事例」ではなく「標準化の波」となっています。
出典:How ServiceNow Now Assist Brings AI to IT Service Management
SAP SuccessFactorsとOracle Cloud HCMは、目標/OKR管理・継続的フィードバック・スキル連動型評価・タレントレビューを単一エコシステムに統合し、AI予測分析によって評価の偏りを検出・是正する機能を提供しています。
Oracleは2025年2月、役割別AIエージェントをOracle Cloud HCMに組み込み、HRと事業リーダーがワークフローの自動化・タスクの効率化・人材生産性の向上を図れる環境を整備しました。
出典:SAP, Oracle Lead the Charge as AI-Driven Performance Management Market Targets USD 6.33B by 2030
【国内事例1】JCOMがAIで全件評価を実現──年60万件の通話を自動分析
JCOMは2025年4月より、コールセンターのオペレーター人事評価にAIを全面導入しました。
従来は顧客アンケートの回収率が数%程度にとどまり、年間わずか1万6,000件程度の通話しか評価されていませんでした。AIによる全件分析では対象通話が約60万件に拡大。
2024年5月からの試験導入において、上司評価・顧客アンケートとAI評価の結果がほぼ一致したことが確認され、全面展開が決定しました。
評価の客観性・公平性・網羅性が劇的に向上した好事例です。
出典:日本経済新聞 2025/03/14
【国内事例2】松屋フーズ──AI面接「SHaiN」で評価基準を統一化
松屋フーズホールディングスは2024年より、店長昇格試験にAI面接サービス「SHaiN」を導入しました。
AIが約300通りの質問から状況に応じて適切なものを選択し、面接・評価レポートを自動作成。従来は複数の面接官間で評価基準にばらつきが生じていましたが、導入後は評価の一貫性が向上し、エビデンスが残ることで的確なフィードバックが実現、人事部の負担も大幅に軽減されました。
出典:https://ai-market.jp/industry/hr_aikatsuyo/
【国内事例3】キリンホールディングス──採用コスト20%削減を実現したAI面接官
キリンホールディングスは学歴バイアスを排除し多様な才能を発掘するため、AIが一次面接を自動実施・16項目で客観評価するシステムを導入しました。
受検者満足度95%を達成し、2025年4月の本格導入により採用コスト20%削減が期待されています。
【国内事例4】明治安田生命保険──内勤社員1万人をAI人事異動
明治安田生命保険は、AIが社員個々の適性・能力を分析し、最適な人員配置を提示するシステムを2024年度までに内勤社員1万人を対象に展開する方針を明らかにしました。
タレントマネジメントシステムと連携し、組織全体の生産性向上と戦略的人員配置を目指しています。
ChatGPTなどの生成AIを活用すれば、成果主義型・行動評価型・コンピテンシー型など複数の評価制度案を数分で比較検討できます。外部委託と比べて大幅なコスト削減と時間短縮が可能です。ただし、自社の経営方針や人材戦略への適合性・法令適合性の最終確認は専門家や人事担当者が担う必要があります。生成AIは「一次案作成の高速化ツール」として活用し、「AI×専門家チェック」のハイブリッド体制が2025年以降の新スタンダードです。
評価プロセスは大きく「①情報収集・整理」「②分析・サマリー生成」「③最終判断と対話」の3段階に分解できます。
このうち①②はAIエージェントに委ねることが現実的であり、マネージャーは本来の業務である「③判断と対話」に集中できるようになります。
ServiceNowやWorkdayのようなプラットフォームだけでなく、Base44のようなノーコード型AIエージェント構築ツールを活用すれば、自社固有の評価フローに合わせたカスタムエージェントを開発することも可能です。
IBMは早くからIBM Watsonを人事評価の意思決定支援に活用してきましたが、評価基準の「ブラックボックス化」に対し従業員・労働組合から懸念が示されました。
最終的にAIが賃金査定で考慮する項目を開示する形で和解が成立しており、この事例はAI人事評価における「透明性」と「説明責任」の重要性を示す教訓として広く共有されています。導入にあたっては、評価ロジックの可視化・従業員への説明・異議申し立てプロセスの整備が不可欠です。
どの工程に何時間かかっているかを計測・記録する。AIが代替できる「作業」と、人間が担うべき「判断・対話」を区別することが出発点です。
ChatGPTやClaude等のツールで自社の評価制度案を生成し、「自社の経営方針に照らしたときのGAP」を洗い出す実験から始めましょう。ハードルは低く、着手コストはほぼゼロです。
すでに導入済みの人事システムにAI機能が追加・更新されているケースが急増しています。現行ベンダーのロードマップを確認し、追加コストなしで活用できる機能がないかを棚卸しすることが最短ルートです。
生成AI・AIエージェントを活用した人事評価の自動化・高度化は、もはや一部のグローバル企業だけの取り組みではありません。
JCOM・松屋フーズ・キリン・明治安田生命など、日本の大手企業がすでに具体的な成果を上げ始めています。
日本国内で生成AIを導入済みの企業は2025年時点で約4社に1社にとどまっており、裏を返せば「今が差別化の最大のチャンス」でもあります。
人事評価の形骸化・不透明感・工数の重さは、テクノロジーで解決できる時代になりました。
重要なのは「AIに評価させる」ことではなく、「AIを活用してマネージャーと従業員が本質的な対話に集中できる環境を作る」こと──その視点で、ぜひ自社の評価制度を見直してみてください。
▼ ご相談・お問い合わせはこちら
※JOB Scope(ジョブスコープ)は、デフィデ株式会社の登録商標です。