一橋大学 名誉教授 米倉 誠一郎氏インタビュー記事(後編)
日経平均株価が4万円を超えるなど、活況を呈しているかに見える日本経済だが、実態としてはまだまだ閉塞感が漂っている。名目GDPも今や4位。さらに、来年には超高齢化社会が一気に加速する2025年問題も待ち受けている。
こうした時代にあっても日本に、そして世界にパワーと元気と勇気を届けているのが、一橋大学 名誉教授、デジタルハリウッド大学大学院 特命教授の米倉 誠一郎氏だ。「日本には日本の良さがある。世界に勝つためにもその良さを磨き上げていこう」と説く。そんな米倉氏がインタビューの後編では、経営における目的語の重要性を語った。
一橋大学 名誉教授 米倉 誠一郎氏インタビュー記事(前編)はこちら
目次
01イノベーションは手段。
目的ではない
米倉先生は、イノベーションや企業家能力を研究されています。それぞれに関して、日本企業ではどのような論点があるとお考えですか。
僕たちは、1997年一橋大学にイノベーション研究センターを設立しました。国立大学でイノベーションという名前が付く研究センターは初めてでした。今から27年も前です。それ以来、イノベーションという言葉を言い続けてきました。ただ、もう僕はイノベーションという言葉は使わないと決めています。
それはなぜかと言うと、イノベーションと言ったら途端に気持ち良くなってしまい、思考停止している人があまりにも多いからです。例えば、「我が社はイノベーション人材を求めています」なんて言うと格好良いです。しかし、僕に言わせたら「何だそれは」です。「当社はイノベーションを推進しています」も同様です。「それって何」ですよ。
イノベーションは手段であって目的ではありません。ジョブ型雇用も手段であって目的ではないのです。目的は成果型の雇用形態ですよね。同じように、イノベーションは手段です。その企業が何を達成したいのか、どうなりたいのかという目的が重要です。
喫緊の企業経営の課題でいえば、危機にさらされている地球環境と持続的な経済発展との融合ができないかということです。ただ、持続的成長は口で言うほど簡単ではありません。だから、イノベーションが必要なのです。繰り返しますが、手段としてですね。
日本企業に問われているのは目的語です。何のためにやるのか。ですから、僕自身はイノベーションという言葉は使いません。経営者に問いかけるのであれば、「御社はどうしたいのですか」です。それなのに、「いやいや、イノベーションを進めていますよ」と言うから、「だから何のためにやるんですか」と言い返したくなります。重要なのは目的語です。
人的資本経営も同じです。「どうして人に投資をして、きちんと使っていかなければいけないのか」を問うていかないといけません。「我が社は今こういう姿だから、こういう人材を育成しなければいけない。この分野強化のために資本も投資しなければいけない」という流れになります。イノベーションも同じですよね。
公益財団法人 日本生産性本部が公表した、「労働生産性の国際比較 2023」によると、日本の時間当たり労働生産性は、52.3ドル。OECD(経済協力開発機構)加盟 38カ国中30位と過去最低。ポルトガルやスロバキアと同程度です。イタリアやスペインにも負けています。
一人当たり労働生産性も、日本は85,329ドル。こちらは31位で過去最低。ハンガリーやラトビアなどの東欧諸国と同水準でした。日本人が働いていないとは思いませんが、これだけの差を見ると明らかに日本の働き方が間違っているわけです。
生産性だけではありません。平均賃金においてもです。OECDが発表した平均賃金データ(2022年)によると、日本の平均年収は41,509ドルで25位です。イタリアが21位、韓国が19位で100万円ほどの差をつけられています。
そうしたことを課題だと考えれば、「イノベーションを推進します」とかではなくて、「5年以内に世界の生産性ランキングで20位に復帰します」とか、「平均賃金でイタリアや韓国を抜きます」と言ってくれれば納得します。本当はできるはずだと信じています。中小企業も同じ課題を抱えています。重要なのは、そのために何が必要なのかと逆算してイノベーションを進めていくことです。
「それってイノベーションじゃないですか」と周りが言い出すことが一番大事です。「イノベーションをやりました」ではないのです。少なくともOECDの平均賃金を上回る賃金を全社員に払うようにする。「そのために、これとこれをやりました」という。それを僕たち学者や経済評論家、メディアが「それってイノベーションですよね」と言うのがイノベーションのあるべき姿です。言い換えれば、目的語があって初めて語れることなのです。
02誰であっても
アントレプレナーシップを
発揮できる
目的語のないイノベーションは意味がないと理解しました。
もう一つ言うと、アントレプレナーシップ(entrepreneurship)も凄く大事です。日本語だと最近では「起業家精神」と訳されます。そのため、最近は会社を起こす方ばかりにいってしまっています。いわゆる起業家ですよね。しかし、かつては「企業家精神」あるいは「企業者職能」、「企業家能力」と訳されていました。僕はアントレプレナー(企業家)の後ろに付く「シップ」とは「スポーツマンシップ」に見られるような心持ちばかりではなく能力や技能に基づくあり方だと思っています。では、その真髄は何かというと「イノベーションを遂行する能力」のことだと解釈します。従って、会社を起こすことだけではなく、医者であっても学校の先生でも給食のおばさんでも発揮することができる能力なのです。例えば、給食をこれまで以上に美味しくして、しかも燃料費や材料費を驚くほど削減した。これも立派なイノベーションでその給食のおばさんはアントレプレナーなのです。こういうことが社会の隅々から沸き起こってくると、日本は良い社会になっていきます。「日本はすごいぞ。給食のおばさんでさえ、自分のアイデアを活かしてもっと安くてもっと美味しいものを作ろうとしている。アントレプレナーシップが国中に溢れている」と海外からも言われるようになりますよ。従って、アントレプレナーシップとは会社を起こしたりビジネスを立ち上げるだけの言葉ではなく、イノベーションを生々と遂行する人々のあり方を表現する言葉なのです。
繰り返しとなりますが、イノベーションやアントレプレナー(企業家能力)という言葉で誤魔化す前に、「企業は何をするのか」「私たちを何を実行するのか」という目的を明らかしなければならないのです。そのためには普通では出来ないことや新たな発想をベースにしなければ実行できないことがあります。それを僕たちが「それってイノベーションだね」というのが筋であって、「我が社はイノベーションをやっています」と言うのはナンセンスです。
周囲から結果が認識されてこそのイノベーションということですね。
ここで言っておきたいのは、長期的に考えると役に立たないものにも投資しなければいけないということです。どうしても近視眼的になり、役に立つものばかりに目が行きがちです。しかし、役に立たないものにも投資する、成果が上がらないものにも投資することです。これも、経営者の能力すなわちアントレプレナーシップでもあります。
そうした経営者の頭の中には、事業ポートフォリオがきちっとあって、明日のお金を稼いでくれるのはこの分野、10年後にお金を稼いでくれるのはこの分野だと理解しているのです。誰が何と言おうと10年後の成長分野に投資をし続ける。しかも、それが正当化するためにも、株主や社員、社会すなわちステークホルダーたちに対してしっかりと自分の考えや計画の進捗を示し、理解を得ることが欠かせません。
大学も同様です。国立大学法人になってから「外部資金を持ってくるように」と国から言われています。僕の卒業した米ハーバード大学では、経営や法律の分野が強いイメージがありますが、研究したからといって何の価値が得られるのかもわからない量子力学や哲学などの分野でも世界最高峰なのです。これって凄いと思いませんか。
なぜ、そんなことができるかと言えば、ロースクールやビジネススクールでしっかり稼いでいるからです。言い方は失礼かもしれませんが、それをすぐには役立たないと思われるものにも投資しているわけです。実際、キャンパスを歩いていると橙色の袈裟を着た学生を沢山見ます。そう、チベット仏教を研究する研究僧侶の姿です。そういう時に、僕は卒業生として誇りを感じてしまいます。「この大学はすごいなあ」と。
短期的には役に立たないものにも投資をしていく。投資できる体制を作る。実は、そういうこと自体がイノベーションなのです。戦前の理化学研究所もしかりです。「自分の研究は役に立たないかもしれません」と言った若手研究者に対し、当時の所長・大河内正敏が「そんなことを考える必要はありません。やりたいことをやってください」と励ましていたそうです。そういう組織であったからこそ、戦後に湯川秀樹氏や朝永振一郎氏らのノーベル賞受賞者が輩出されたといっても良いでしょう。
03稼ぐ力をいかに高めるか。
そのためにも
目標設定が大切
日本はGDPのランキングが年々低下しており、存在感が弱まりつつあります。日本が再び世界に頼られる国となるには、今後何をしていけば良いのでしょうか。
昨今は名目GDP(国内総生産の実額)のランキングが年々下がり続けていて、今年の発表ではドル換算でドイツに抜かれて世界4位になりました。これも、やはり稼ぐ力がなくなっているからです。
しつこく言えば、イノベーションやパーパス経営、ジョブ型雇用など耳に心地が良いものの、中味がない言葉で逃げているからです。しっかり稼ぐことを明確な目標にすることが大事だと思います。「GDPで日本は再びドイツを抜き返す」「そのためにも、一人当たりの労働生産性で少なくとも10位以内に入ることを目指そう」と具体的に提示していくことが必要です。ただし、現代の経営環境で生産性を上げ、しっかりした利益を上げていくことは決して簡単ではありません、まさに、絶えざるイノベーションを繰り返し、パーパスを社員に語り、ウェルビーイングなあり方を模索しなければなりません。その辺りの我々のメンタルを変えていく必要があると思います。
このように「日本はどうするのか」といった時には確固たる目標設定が欠かせません。僕は、明治時代に「絶対に独立を達成しよう」と呼びかけた政治家は立派だと思っています。また、戦後において「戦争に負けたが、今度は経済で勝とう」と言って事業を起こした経営者も素晴らしい。他には、戦後の高度経済成長を首相としてリードした池田勇人氏とその理論武装を提供した孤高のエコノミスト下村治氏も素晴らしい事例です。彼らは実質国民総生産を10年以内に2倍にすることを目標とする「国民所得倍増計画」を推進し、閣議決定を実現しました。実に、シンプルではないですか。「実質国民総生産を10年以内に2倍」、「国民所得も10年以内に倍増」するという計画ですよ。明確ですよね。そういうコンクリート(具体的)な目標を立てることが重要ではないでしょうか。
もう一つ言いたいのは、日本人の良さ・強みを活かしていくことです。僕たちが今運営しているCR-SIS(クリエイティブ・レスポンス –ソーシャル・イノベーション・スクール)は、その最たる例です。この学校では、「世界に日本があってよかった」というビジョンの下に、ソーシャル・イノベーションを推進する人材育成を主な事業として展開しています。
日本は他のアジア諸国から信頼されています。シンガポールの研究機関が2022年11月~23年1月に行った調査の結果によると、平和、安全保障、繁栄において最も信頼できる国では日本が61.2%で第1位。米国(30.3%)や中国(16.1%)を大きく引き離していました。それはそうです。品質が良い、納期を守る、国際法に則って貿易・外交活動をする、騙したり裏切ったりもしない。そういうところが評価されているのです。
ところが、経済的影響力では中国が76.7%とダントツ。次が米国の9.8%。日本はわずか2.6%に過ぎません。しかも、前年の4.1%から下落しています。
こうした結果を見ると、人々はないものねだりをしがちになります。なかには、「存在価値を上げるにはやはり核武装だ」と極論を言い出す輩が出てきたりします。そうではないのです。僕が言いたいのは、今あるものをより強くすることです。
04世界に日本が
あって良かったと
言われるためには
日本は何を強くすれば良いのでしょうか。
まずは信頼性の高い商品を作ることです。そして、国際的商慣行を守り、ODA(政府開発援助)により前向きに取り組むことも大事です。日本は世界の中でも、群を抜いて多くの開発途上国に投資して来ました。JICA(独立行政法人国際協力機構)の若手メンバーを見ていると、涙が出るくらい世界各地で貢献しています。これらが、日本の信頼の源なのです。
DXも大切ですが、開発途上国はもっと深刻な状況です。その前提の電気がないのです。水力発電で電気を起こす時、再生可能エネルギーを普及させる時、最も信頼できる国は日本なのです。そこがポイントです。日本企業の高い技術や厚い支援がありがたいという話になります。これは、中国やアメリカもできない分野だと思うのです。
僕らは「世界に日本があって良かった」と言われる学校を目指しています。大事になってくるのは、一つが生産性や平均賃金では他の国に絶対負けないという確固たる目標を持つこと。もう一つが、これまで日本が続けて来た地道な努力が色々なところで実を結んでいくいうことです。
日本企業がイノベーションを活発化させていくためには、どのような施策があると考えられますか。
二点ほど挙げたいと思います。まずは、イノベーションという言葉を使わないことです。イノベーションを活性化していくって意味がわからないじゃないですか。「もっと社員の給料を上げて生産性を上げていく」などの具体的な目標を掲げることです。
二つ目は、口角を上げて働くことです。つまらなそうな顔をしている日本人が多すぎます。ウェルビーイング関連のデータでわかってきたのは、口角を上げて働いている人は、そうでない人と比べて生産性で1.3倍、クリエイティビティは4倍も高かったことです。それだけ自己充足感や幸福度が実質的に生産性を上げるということです。
僕ら昭和世代は「なんだかんだ」と言われますが、仕事や人生も結構面白かったです。最近の若者は、すぐ「ワーク・ライフ・バランス」とか言い出しますが、僕からすると「何を言っているんだ。そのバランスは1日ではなく一生で考えるべきものだ」と言ってあげたくなってしまいます。20代で徹夜に次ぐ徹夜をしないと能力は上がりません。それが、30代になると結婚して子供ができたりするので、少しはワーク・ライフ・バランスを考えないといけなくなります。40代以降でバランスを取ることが初めて大事になるような気がします。まあ、それぞれの一生の中でどうバランスを取るかを考えていけば良いのです。それなのに、1日の中でワーク・ライフ・バランスだなんて、「何だかな」と思ってしまいます。
一橋大学時代、名誉教授の野中幾次郎先生の研究室は僕の隣りでした。当時、僕としては、頑張って朝7時半ぐらいに出勤すると野中先生はもう来ていて「遅いなあ」と言ってきまいた。たまに研究会などがあり、夕方4時半ぐらいに出なければならないと、わざわざ出て来て、「今日は早いなあ」と言ってきました(笑)。しかし、あの時ほど研究が楽しく、勉強になった時期はないです。大学にも良く泊まりました。訳のわからない仕事もたくさん頼まれました。あの時に経験が今の僕につながっています。結局、そういうことなのです、ワーク・ライフ・バランスとは。だから、一生で考えるべきなのです。とにかく、働くときには徹底的に働くことです。
それができない人には、パーパスがないのです。こんな言葉も使いたくないですけれどね。パーパスとか言っている人に限って「ワーク・ライフ・バランスが重要だ」と言い出しています。「何をふざけているのか」ですよ。本当のパーパスは、世界で勝ち、世界に役立つことです。世界で一番高い給料を社員に支払い、途上国にも好かれて「日本を守ってあげたい」と皆に思われることです。
そのためには、がむしゃらに働かななければいけません。そういう点では、今の若者は内向き志向になりすぎです。必ずしも米国に行かなくて良いですが、途上国には行っておくべきです。英語や中国語も良いですが、ヒンズー語も学ぶ価値はありますよ。世界に出て日本の良さを伝えていく必要があります。
05デジタルに
早く投資する。
それが勝つ原則
日本は人材不足も顕著です。この課題をどう解決していけば良いとお考えですか。
やはり、デジタルは大事です。デジタルは眠くなりません、デジタルは腹が減りません、そして、デジタルは賃上げを要求しません。これからの労働力不足、賃上げの流れを見れば、早くデジタルに投資をした方が勝つのです。人間以外でできることはどんどん任せていく。
中小企業の経営は辛いかもしれませんが、人に投資をする、人を雇うにしてもしっかりとした戦略を標榜する必要があります。「うちの会社は大企業並みの給料です」と言っても人は来ません。中小企業には、二つの選択肢しかないのです。「うちの会社は大企業以上の給料です」と言うか、全く違うディファレントな待遇や仕事の面白さを見せるしかありません。中小企業こそ「俺たちはここに向かっているんだ」という旗を立てることです。
もう一つアピールしたいのは、逆境をチャンスに変えるということです。今、2025年問題がクローズアップされています。超高齢化社会が到来し、さまざま分野で多大な影響がもたらされることによって、120万社以上もの会社が黒字倒産すると予測されています。金額にして22兆円が失われるというのです。
実は、これは腕に覚えがある方にとってはチャンスです。技術があって、顧客もいて黒字だけれど後継者がいなくて潰れてしまうなら、「俺が社長になってやろう」。その覚悟があれば、一国一城の主になれるかもしれません。地方創生にとっても大きなビジネスチャンスです。既に地方銀行はM&Aでフィーを稼ごうと、良い経営者の発掘に努めています。
06ディファレントな
道を探すしかない
最後に中小、中堅企業の経営者や人事責任者へのメッセージをお願いいたします。
中小・中堅企業も他社と同じことをやっていてはダメです。ディファレントな方向に行く必要があります。あとは、代替されないもの、うちの会社でしかできないものを作ることです。もちろん。これが大変なのですが、最近はそこにチャレンジしている企業も出て来ています。特に中小企業の商品価格決定が重要となります。それを科学的にサポートするベンチャー企業も出てきています。
日本企業がどうやってプライシングしているかと言えば、一つはコストプラスで、もう一つが同業他社との比較です。しかし、海外の先進企業は自社の価値を十分に理解した上でプライシングをします。その価値をどうやって設計するかがとても大事になってきます。そのためにも経営者、特に中小企業の経営者はディファレントな道を探し、そして自社でしかできないものを構想する能力を磨かないといけません。
米アップルが今年2月に発売したゴーグル型端末「Vision Pro」を分解してみたら、価格ベースで4割が日本製の製品であったという記事が日本経済新聞に掲載されていました。日本企業の実力を援護射撃する記事だったと思いますが、僕に言わせたら、「じゃ、なぜ自分たちで作らないのか」です。美味しいところを全部アップルに持っていかれてしまっています。一方で、ソニーのCCD(半導体画像センサー)が好調なのは、恐らく彼らにはプライシングする力があるからです。それと同じように、良い部品を作ったらそれに見合う価格で売って、社員にも速やかに高い給料を払うことです。これは、中小企業だけではありませんがね。
色々とコメントしてきましたが、僕が言いたかったことは三点に集約されます。一点目が、「人的資本経営は当たり前だ」ということです。イノベーションを生み出すのも人間、どんなロボットよりもすごいのが人間、ですからそこに投資をしていくべきはもちろんです。そのために一番大事なのは、トップ自身がリスキリングして目的意識を持った経営者に変わることです。
二点目が、イノベーションやジョブ型、パーパス経営など分かったようで分からない言葉を使わないこと。もっとコンクリートな目標設定をすべきです。
三点目が、「大企業に負けない」、「同業者には負けない」あるいは「中国に負けない」、「米国に負けない」といった勝ち負けの視点ではなく、ディファレントな道を探すことです。そして、価格決めを科学することです。
米倉 誠一郎氏
一橋大学 名誉教授
デジタルハリウッド大学大学院
特命教授
一橋大学社会学部(’77)および経済学部卒業(’79)。同大学大学院社会学研究科修士課程修了(’81)。ハーバード大学Ph.D 歴史学(’90)。1982年〜2017年一橋大学イノベーション研究センター助手を経て助教授・教授。2008年より2012年まで同センター長。2009年~2019年日本元気塾塾長。2012年~2014年プレトリア大学ビジネススクール(GIBS) 日本研究センター所長(Academic Director)を兼務。2017年~2024年法政大学大学院教授。2020年よりソーシャル・イノベーション・スクール(CR-SIS)学長。2021年より世界元気塾塾長。2024年よりデジタルハリウッド大学大学院特命教授。