第48回
AI時代の人事評価
「業績評価」と「行動評価」を「納得できる成長の仕組み」に変える方法
2026/6/19
「評価って、何のためにあるんですか?」
「業績評価と行動評価の違いが、正直よく分かりません」
これは、人事制度改革の現場で最もよく聞く声です。
そして今、この悩みは「日本だけ」ではありません。Deloitteのグローバル調査では、パフォーマンス・マネジメント(評価・育成の仕組み)を「信頼できる」と言い切れない人が、管理職で61%、従業員で72%にのぼると示されています。
引用:Deloitte insights
Employee performance management | Deloitte Insights
評価が信頼されない組織では、次のような損失が起きます。
・何を頑張ればよいか分からず、努力が分散する
・フィードバックが形だけになり、成長が止まる
・上司と部下の認識がズレ、納得感を失う
・結果として離職・エンゲージメント低下につながる
では、評価は何のためにあるのか。
結論はシンプルです。
人事評価は「処遇を決める道具」ではなく、
会社の成長と、個人の成長を、同じ方向にそろえる“設計図”です。
その設計図の中核が、「業績評価」と「行動評価」です。
1. 業績評価とは?(結果を見る評価)
業績評価は、端的に言えば「約束した成果に到達したか」です。
例:
・売上目標 1,000万円 → 実績 1,100万円
・納期遵守率 95% → 実績 98%
・不良率を20%削減 → 実績 30%削減
・採用充足(10名)→ 実績 10名
ここで見ているのは「結果(アウトカム)」です。
会社は成果で成り立つため、業績評価は不可欠です。
ただし、結果だけを見続けると、組織は歪みます。
短期の数字を追い、協働や再現性、リスク管理が置き去りになりやすいからです。
2. 行動評価とは?(成果の出し方を見る評価)
行動評価は「どうやって成果を出したか」を見ます。
ここでの「行動」とは、単なるマナーではありません。組織が大切にする価値観・行動様式(コンピテンシー)を、仕事の中でどれだけ発揮できたか、という評価です。
例:
・顧客志向:顧客の期待を構造化し、提案に落とし込める
・協働:部門を越えて情報連携し、成果を最大化できる
・改善:課題を見つけ、再発防止まで仕組みにできる
・主体性:指示待ちではなく、目的から考えて動ける
・品質・法令遵守:ルールを守り、リスクを未然に防ぐ
CIPD(英国の人材開発・人事の専門機関)は、パフォーマンス・マネジメントの要素として、目標設定、レビュー、フィードバック、学習・能力開発などを挙げています。
引用:CIPD
People performance: an evidence review
つまり行動評価は、「成長」に直結する領域なのです。
3. なぜ「業績評価 × 行動評価」の両方が必要なのか?
業績評価だけだと起きること
・数字は取るが、周囲を疲弊させる
・近道(不適切な手段)に走る
・属人化して再現できない
行動評価だけだと起きること
・いい人だが成果が出ない
・何が「勝ち筋」か分からず、事業が伸びない
CIPDのエビデンスレビューでも、成果(結果)だけでは捉えきれない行動・プロセスの重要性が示唆されています。
だから世界の企業は「結果」と「プロセス」をセットで設計し、「強い成長」を作る方向へ進んでいます。
4. いま評価制度が難しくなっている「新しい理由」—AIとスキル変化
評価制度が難しい最大の理由は、仕事の前提が急速に変わっているからです。
生成AIを「定常的に活用している」企業は65%
引用: McKinsey
The state of AI in early 2024 | McKinsey
Microsoft/LinkedInのレポートでは、AIスキルを採用で重視する動きが進む一方、AI研修を受けた人は39%に留まるとされています。
引用:Microsoft/LinkedIn
Microsoft and LinkedIn release the 2024 Work Trend Index on the state of AI at work - Source
WEF(世界経済フォーラム)は、2030年までに仕事で求められる主要スキルの39%が変化すると報告しています。
引用:WEF
Future of Jobs Report 2025: The jobs of the future – and the skills you need to get them | World Ec…
この状況で「年1回の評価」「結果だけの評価」を続けると、現場はこうなります。
・AIを使う人/使わない人で生産性が分断される
・仕事のやり方が急変し、行動評価が曖昧になる
・「何を伸ばすべきか」が見えず、育成が止まる
だから今、グローバルでは評価を「査定」から「成長支援」へ移す議論が加速しています。
5. HRテック×AIで、評価は「納得」と「成長」に変えられる
AI活用のポイントは、評価を自動化して楽をすることではありません。
評価の納得感を高め、成長のスピードを上げることです。
期待できる効果①:目標(業績)をブレさせない
・会社の方針 → 部門目標 → 個人目標の連動を可視化
・目標の粒度・難易度・進捗を揃え、評価の「ズレ」を減らす
・目標変更の履歴も残し、期中の環境変化に対応
期待できる効果②:行動評価を“ふわっと”させない
・コンピテンシーを「具体的な観察行動」に落とし込む
・1on1・日報・プロジェクト記録などから、事実ベースのフィードバックを作る
・上司の主観だけでなく、データと具体例で対話できる
期待できる効果③:育成(成長)を「次の一手」まで提示できる
・評価結果を「能力開発プラン」に変換
・研修・OJT・アサイン候補をレコメンド
・スキル変化の時代に、学び直しを日常化
WEFは、多くの企業がスキルギャップに対応するため、アップスキリングやAIトレーニングの提供を進めていると報告しています。
評価と育成がつながるほど、AI投資の効果も出やすくなります。
引用:WEF
The top jobs and labour market stories of 2025 | World Economic Forum
6. デフィデが提供する支援(JOB Scope/SmartOps)
私たちデフィデ株式会社は、評価を「制度」だけで終わらせず、現場で「回る仕組み」として定着させるために、2つの方向から支援します。
JOB Scope:スキル×職務×配置をつなぐタレントマネジメント
・職務(ジョブ)とスキルを紐づけ、成長ルートを見える化
・「行動評価」を“次の育成施策・配置”に変換しやすくする
・1on1や人材情報を一元化し、マネジメントの質を上げる
SmartOps:労務・人財・業務をAX/DXし、現場のムダを減らす
・入力・申請・照会などの事務作業を自動化し、評価・育成に時間を回す
・属人化しがちな運用(手続き、問い合わせ)を標準化
・ES(従業員満足度)を下げる「手間」を削減し、強い組織へ
評価制度は「作った瞬間」がゴールではありません。
運用が続き、対話が増え、成長が起きて初めて価値が出ます。
7. まず取り組むべき、3つの実務ポイント
1:業績評価(結果):目標の連動と、難易度の整合
2:行動評価(プロセス):コンピテンシーを観察行動に翻訳
3:評価→育成:次の成長アクション(学習・配置・支援)まで設計
もし、「行動評価が形骸化している」「評価の納得感が低い」「育成に繋がっていない」
そんな兆しがあるなら、制度ではなく「運用設計」の見直しが効果的です。
・自社の評価制度を、業績評価・行動評価の観点で棚卸ししたい
・AI活用で、評価の納得感と育成効果を上げたい
・JOB Scope/SmartOpsで、どこまで実装できるか具体的に知りたい
上記のテーマで、短時間の壁打ち(現状整理)からご一緒できます。
「評価が、社員の成長につながる仕組み」へ。
AI時代のパフォーマンス・マネジメントを、一歩前に進めましょう。
※JOB Scope(ジョブスコープ)は、デフィデ株式会社の登録商標です。
※SmartOps は、デフィデ株式会社の登録商標です。
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