α世代とは?Z世代との違いと2030年代の職場への備え|産業能率大学・小々馬敦教授

 

α世代とは、2010年以降に生まれ、幼少期から生活の中に当たり前のようにAIがある世代です。産業能率大学の小々馬敦教授は、社会貢献への思いが強いZ世代に対し、α世代はAIを使いこなし、しっかり成果を出したいという「成果志向」がより強いと語ります。

前編では、Z世代の価値観と早期離職の理由を紹介しました。数年後には、Z世代の次のα世代が社会に出てきます。2030年代には、Y世代、Z世代、α世代が同じ職場で働くことになるのです。

本記事では、著書『新消費をつくるα世代』で知られる小々馬教授へのインタビューをもとに、α世代の特徴とZ世代との共通点・違い、世代間の価値観の接近、「消費」という概念の変化、多世代が混在する職場での発信と採用、Z世代社員への準備、そして経営・人事のキーワードとの向き合い方について解説します。

この記事でわかること

・α世代とは何か――Z世代との共通点と違い

・α世代の「成果志向」とプロジェクト型のチームワーク

・若い世代を中心に「消費」の概念がネガティブになっている理由

・多世代が混在する2030年代の職場に向けて、企業が今すべき準備

・人的資本経営やジョブ型などのキーワードとの向き合い方

取材協力:小々馬 敦(こごま あつし)氏

産業能率大学 経営学部 教授(取材時)。1983年青山学院大学経営学部卒業。第一広告社(現I&S BBDO)やインターブランドジャパンで戦略プランナー、事業開発、経営企画に従事。その後、米国のブランドコンサルティング企業数社の日本法人代表を歴任し、国内外の企業の無形資産価値経営、パーパス経営とブランディング、マーケティングの連携を支援。2013年より現職。専門はマーケティングで、Z世代・α世代の価値観や行動特性を研究。著書に『新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」』(日経BP、2024年)。

聞き手:JOB Scopeマガジン編集部

α世代とは?――幼少期からAIが当たり前の世代

α世代とは、小々馬教授の定義では2010年〜2024年に生まれた世代です(取材時点で中学生以下。世代の定義には諸説あります)。家にはAI搭載の家電があり、声をかけて使いこなしています。塾や学校ではタブレットのAIが問題を出し、答える相手もAIです。AIは自分のことをよく知る話し相手であり、自分に最適なものはそこから出てくると信じ、自分が使いこなせるツールという感覚を持っているのです。

Z世代とα世代の共通点と違い

Z世代とα世代の共通点は、社会課題に敏感で正義感が強いことです。幼いころからSDGsをテーマにした授業を受けており、それが意識と行動の前提になっています。一方で、両者には大きな違いもあります。

  Z世代 α世代
生まれた年(小々馬教授の定義) 1997年〜2009年 2010年〜2024年
テクノロジーとの関係 SNSやスマホが浸透する過渡期に育ち、怖い思いや嫌な思いもしたため、新しいテクノロジーに懐疑的な面がある 幼少期からAIが当たり前に存在し、親和性が非常に高い。自分が使いこなすツールと捉える
志向 社会貢献の意欲・思いが強い しっかり成果を出したいという成果志向が強い
考え方 自由主義的。「答えは一つではない」と話し合うが、答えを確認しないまま終わりがち 民主主義的。「社会的に正しいことが正解」と判断し、解決策を考えることに時間を集中する
課題解決 解決の手段に自信が持てず、実装には奥手 AIを活用して解決策を創造する思考が養われている

出典:小々馬教授への取材をもとに編集部作成

α世代はなぜ成果志向なのか――オンラインゲームの経験

α世代は、AIを使って「社会の中庸・中道の意見」を確認できればそれを答えとし、答えを探すことより、解決策を講じて成果を出すことに時間を使うと割り切っています。

背景の一つにはオンラインゲームの経験があると小々馬教授は見ています。アバターとして集まった友達と目的を共有し、ゲームをクリアすることに熱中し、結果が出たら解散する。結果志向のプロジェクト型チームワークに慣れているのです。これは、大学生が小学生と一緒に2030年の未来の暮らしを描くプロジェクトを行った際に、大学生が「自分たちとの違い」として感じたことでもあるといいます。

世代間の価値観の違いは小さくなっている

実は今、世代間の価値観の違いは小さくなっていると小々馬教授は言います。親子の仲がよく、親が子どもの価値観を尊重し、親の価値観が子どもに近づいていく傾向が見られるのです。子どもの価値観のほうが今の社会に適合しているはずなので、親が自分の考え方をアップデートするのは合理的です。コロナ禍で家族が一緒に過ごす時間が増えたことも影響しているといいます。

若い世代を中心に「消費」の概念が変わっている

小々馬教授は2024年5月、『新消費をつくるα世代』(日経BP)を刊行しました。マーケティングの基本理論や手法の多くは20世紀に体系化されたもので、ネットやSNS、AIが普及した今の社会では合わなくなってきていると感じていたことが背景にあります。Z世代からα世代への変化の流れに、5〜10年後の社会の姿が見え始めていると考えたのです。

  1980〜90年代 今
消費の捉え方 「消費は美徳」。消費を増やして好景気になれば皆が幸せになれる 価値を損じる無駄遣い。もったいないことはなるべくしたくない
若い世代の声 ― 「消費しないことがサステナブル」

出典:小々馬教授への取材をもとに編集部作成

調査では、若い世代に限らず広い世代で、消費は「価値を損じる無駄遣いだから最小にしたい」と受け止められていることがわかっています。消費を煽るマーケティングではなく、「消費」に代わる新しい概念を考え、社会価値をつくるマーケティングの意義を再定義すること――2020年代はそれを考え直すよいタイミングだと小々馬教授は語ります。

多世代が混在する2030年代の職場に向けて

あと5年ほどで、α世代も成人して職場に加わってきます。働き方の好みは多様で、職業の選択肢も格段に広がりました。学生の会社選びは、知名度の高い「一流企業」ではなく、「本当に自分に合っているかどうか」に変わっています。「テレビCMを出している企業は一流」という認識はもうなく、ネットで調べて会社の情報が見えなければ、選択肢から外してしまうのが今の時代です。

認知度を広げるより「想いとスタンス」でマッチングを

小々馬教授は、経営者自身の言葉で「私たちはこの想いを実現するためにこの事業に取り組んでいる」「この想いに共感できる人に集まってほしい」と実直に伝える努力が報われると言います。若い世代の価値観は多様なので、想いとスタンスが伝われば、共感する人は一定数必ずいるからです。

  従来のアプローチ これからのアプローチ
目的 認知度を高め、情報が伝わる範囲を広げる 学生が自分に合う会社を探し始めたときに、つながれるようにする(マッチングを高める)
手段 広告など SNSのアルゴリズムを生かしたマッチング、信頼する人を通じたアンバサダー広報など、つながる環境づくり

出典:小々馬教授への取材をもとに編集部作成

Z世代の社員に、α世代と協働する準備を

2030年代には、Z世代が職場の中心年齢層になり、そこにリテラシーが高く成果志向の強いα世代が後輩として加わります。社会貢献意識は高いものの課題解決の実装には奥手なZ世代の先輩に、α世代が「いらっときて」突き上げるのではないか――小々馬教授は、Z世代がうまくリーダーシップを取りきれないケースを心配しています。

そこで企業にお願いしたいのが、Z世代の社員がα世代と円滑に協働できる準備です。

身につけたい新しい教養 内容
STEAM教育のアート思考 科学・技術・工学・芸術(リベラルアーツ)・数学を統合的に学ぶ、α世代が学校で受けている教育
プログラミング デジタルを使いこなす基礎
ファイナンス、外国語 社会で求められる基礎教養
AIリテラシー AIを使いこなし、課題解決に生かす力

出典:小々馬教授への取材をもとに編集部作成

これらはZ世代だけでなく、上のX・Y世代にも必要になっていきます。2030年代に向けて社内の基礎リテラシーをα世代と同等以上に高めておけば、組織の価値創造と実装力が加速的に高まると小々馬教授は期待しています。そのためにも、α世代を知ること以上に、自分たちが育ってきた時代の常識や価値観を、今の時代にアップデートすることが大切だといいます。

世代ごとに異なる強みを持つ社員が協働するには、一人ひとりの役割や育成の状況を見える化し、学びの機会を後押しする仕組みが役立ちます。

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経営・人事のキーワードは「試して、自社流に磨く」

最後に小々馬教授は、中小・中堅企業の経営者や人事責任者に向けて、ジョブ型採用や人的資本経営など、次々と現れる経営・人事のキーワードとの向き合い方を語っています。

専門家は、言葉の本質が理解されていないと指摘しがちです。しかし小々馬教授は、経営者に「バズワードに惑わされないほうがよい」とは言いたくないと言います。時代のキーワードになっていること自体に意味があるからです。

  1. なぜ今その言葉が注目されているのかを考える
  2. 自社の環境に照らし、どこを取り入れ、どこを参照すれば効果があるかを考える
  3. ある程度消化したうえで、「ジョブ型について当社の考え方はこうだ」と方針を打ち出す
  4. 試してみて、失敗も含めて自社に最適なアプローチを見つけ、磨いていく

就職活動中の学生は、ジョブ型採用という言葉を知っています。知りたいのは、「この会社の経営者はジョブ型の働き方をどう考えているのか」であり、そこで共感できるかを確かめたいのです。

「意思決定の速度と柔軟性が高い中堅企業にこそ、価値共創を実現する機会は大きいと考えています。」

――小々馬教授

概念の本質を極めることより、経営者、従業員、これから入る社員の想いに配慮しながら試行錯誤し、自社なりの解釈で自社のスタイルをアップデートしていくプロセスが合理的だと小々馬教授は語ります。

よくある質問(FAQ)

Q. α世代とは何ですか?

A. 小々馬教授の定義では、2010年〜2024年に生まれた世代です(定義には諸説あります)。幼少期から家電や学校のタブレットなど、生活の中に当たり前のようにAIがあり、AIを自分が使いこなすツールと捉えているのが特徴です。

Q. α世代とZ世代の違いは何ですか?

A. 共通点は社会課題に敏感で正義感が強いことです。違いは、Z世代は社会貢献の思いが強く、テクノロジーに懐疑的な面もあるのに対し、α世代はAIとの親和性が高く、しっかり成果を出したいという成果志向が強いことです。小々馬教授は、Z世代は自由主義的、α世代は民主主義的な考え方がより強いとしています。

Q. α世代はなぜ成果志向なのですか?

A. 小々馬教授は、AIで社会の中庸の意見を確認し、答えを探すより解決策を講じることに時間を使う考え方が養われていることに加え、オンラインゲームで目的を共有する仲間と集まり、結果を出したら解散するプロジェクト型のチームワークに慣れていることが背景にあると見ています。

Q. 2030年代の職場に向けて企業は何を準備すべきですか?

A. 小々馬教授は、Z世代の社員がα世代と円滑に協働できるよう、STEAM教育のアート思考、プログラミング、ファイナンス、外国語、AIリテラシーなどを学べる機会を支援することを勧めています。上の世代も含めて社内の基礎リテラシーを高めておくことで、組織の価値創造と実装力が高まるとしています。

Q. 若い世代の採用で企業は何を発信すべきですか?

A. 小々馬教授は、経営者自身の言葉で、自社がどんな想いで事業に取り組み、どんな人に集まってほしいかを実直に伝えることが大切だとしています。認知度を広げるより、学生が自分に合う会社を探したときにつながれるよう、マッチングを高める環境づくりに時間をかけるべきだと述べています。

まとめ:α世代を知り、自分たちの常識をアップデートする

  • α世代は2010年以降に生まれ、AIが当たり前の環境で育った世代。成果志向が強い
  • Z世代とα世代はともに社会課題に敏感だが、テクノロジーとの関係や課題解決への姿勢が異なる
  • 若い世代を中心に「消費」の概念がネガティブになっており、マーケティングの再定義が求められている
  • 2030年代の多世代職場に向けて、Z世代を含む社員の新しい教養を高め、想いとスタンスで若い世代とつながる
  • 経営・人事のキーワードは、試して自社流に磨く。意思決定の速い中堅企業にこそ機会がある

若い世代の価値観は、数年後の社会の姿を映し出しています。α世代を知ることは、自分たちの常識を今の時代にアップデートすることでもあります。

2030年代に向けた人事制度の見直しを、プロと一緒に

多世代が混在する職場で一人ひとりが力を発揮するには、自社の想いとスタンスを人事制度として形にし、育成や評価に反映させることが大切です。DEFiDEの「JOB Scope」は、人事コンサルティングと人事クラウドの2軸で、経営に直結する戦略人事の制度設計から組織への定着までを支援します。

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▶ 前編:Z世代はなぜ早く辞めるのか?仕事観・上司観の特徴と、「ポジティブに卒業できる会社」が選ばれる理由(内部リンク)

▶ インタビュー全文:Z世代からα世代へ。新たな時代に向けて若者世代とどう向き合っていくか(後編)(JOB Scopeマガジン)

JOB Scope編集部

Written By: JOB Scope編集部

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