シリーズ あの人この人の「働き方」
AI時代を生きるリーダーたち(1)
~「ネオバリキャリ」とAIで切り拓く、仕事も人生も充実する新しい生き方~
New Me株式会社 篠原さくらさんへのインタビュー・エッセンス

篠原さくら さん
New Me株式会社代表取締役CEOの篠原さくらさんは、AI時代に女性がどう生きるべきかを自らの言葉と行動で示している。サイバーエージェント、デロイトトーマツ、WARCでの豊富な人事経験を経て、2023年に元TBSアナウンサーの笹川友里さんと共同創業した。「人生を自分でハンドリングし、前向きに生きる女性を増やす」をミッションに掲げている。
本稿では3回にわたるインタビュー(その1〜その3)の核心を整理し、各回の重要なポイントを抽出し、AI時代を生きるうえでの示唆や実践的な補足を加えて解説する。ぜひこの記事を読んだ後で、原文のその1・その2・その3にもう一度目を通していただきたい。
NewMe株式会社
会社概要 |人生を自分でハンドリングし、前向きに生きる女性を増やす | NewMe株式会社
目次
01 ―――
その1:ネオバリキャリという生き方と、AIの本格活用
篠原さんたちが提唱する「ネオバリキャリ」とは、従来の「バリキャリ」(キャリア至上主義で私生活を時に犠牲にするイメージ)を超えた次の形だ。キャリアを軸に全力で取り組みながら、私生活も大切に充実させる生き方である。
同社はYouTubeやInstagramでの情報発信、有料コミュニティ(数百人規模)、大型キャリアイベントを通じて、このような考えを持つ20〜30代女性を全力でバックアップしている。篠原さん自身は新卒でサイバーエージェントに入社し、人事採用を担当。その後、デロイトトーマツで人事コンサル、WARCで執行役員として人事全般をリードしてきた経験を活かしている。
そして最大のトピックがAI活用だ。2025年の体調不良(第3子妊娠)をきっかけに本格導入。篠原さんは現在では業務の9割以上がAI関連となり、全メンバー(従業員)も日常的に状況に応じて活用している。特に会議の自動議事録作成、スマホ音声入力による「壁打ち」、メール下書きなどで大幅に効率化してきた。属人化を解消し、再現性を高め、メンバーの業務をルーチンから創造的なものへシフトさせている。
この回の最大の価値はAIを「経営ツール」としてだけでなく、組織の仕組みづくりに活用している点にある。小規模スタートアップではどうしても個人の力量に依存しがちだが、AIを使うことで情報共有が高速化し、誰かが休んでもスムーズに回る組織に変わりつつあるという。
「内発的な動機を高める」という篠原さんの人事ポリシーとAIの効率化が融合することで単なる時短(労働時間削減)ではなく、「より良い働き方・生き方」を実現している。これは、多くの企業にとって参考になるモデルだ。
詳細はその1で、創業背景とAI導入のきっかけ、具体的な活用事例をぜひご覧いただきたい。
02 ―――
その2:AIとの賢い付き合い方と、人間が果たすべき役割
篠原さんはAIの回答を「10点満点中6〜7割」と冷静に評価する。決して万能ではなく、必ず人間がチェック・修正する姿勢を強く強調している。AIが出力した資料や議事録をかつて自らが会社員であった頃に上司が添削したように丁寧に読み直し、リライトするプロセスを欠かさない。全スタッフが試みていることでもある。
効率化が進み、同社では残業が少なくなった。篠原さんは、新たに生まれた時間を新規事業や価値創造に充てている。また、AIはルーチンワークを効率化する一方で、「人間力」と「現場力」は人の代替をできないと指摘。たとえば人事領域の社員は、経営層の意向と現場の実情を深く理解したうえで制度を運用する力が今後ますます重要になると語る。これらは、現在のAIでは対応が難しいと見ている。

メンバーと話し合う篠原さん
中小企業・スタートアップへのアドバイスとして、「壮大な計画ではなく、自分たちが一番苦手とする部分から部分的に導入する」ことを推奨している。これは「AIリテラシー」の本質を突いている。AIを過信せず、ツールとして適切に距離を置く姿勢は非常に重要だ。
AIが苦手な「文脈理解」「人間関係」「機微」を人間が補うことで、真のハイブリッド組織が完成する。また「組織としての記憶」をAIで蓄積・共有し、定着率を高める可能性は、特に人材流動性が高い現代において大きな示唆に富む。
その2では、AIの限界認識とチェックの重要性、人事視点からの深い考察が展開されている。原文で具体的な失敗回避策をご確認いただきたい。
具体的には素敵なネオバリキャリの方に動画・イベント・メディアを通してインタビューしたり、同世代の働く女性で気軽に話し合える場づくりをしています。そうしたコンセプトのもと、YouTubeをはじめとしたメディアも運営します。1度に数百人の女性が参加するキャリアイベントの企画・運営も随時行っているんです。有料のコミュニティも展開し、現在は数百名の会員の方に入っていただいています」
03 ―――
その3:私生活でのAI活用と、未来へのポジティブなメッセージ
AIは仕事だけでなく、私生活の強力なパートナーでもある。篠原さんは資産ポートフォリオ管理、子どもの進路相談、献立作成、冷蔵庫の食材活用、家賃交渉、アンガーマネジメントなど、日常のあらゆる場面でAIを活用している。
3人の子育てをしながらの経営で多忙の中、AIは「なくてはならないインフラ」だという。女性にとって結婚、妊娠、育児などキャリア断絶の課題が存在することを認めつつも、「今こそチャンス」と前向きに捉える。AIにより効率化が進むことで、女性は以前より恵まれた環境にあると指摘する。
また、自身が10代から続けてきた「人を巻き込み、楽しませる」力やノウハウを活かし、女性コミュニティを運営(会員約250人、累計動員1万人超)。「仕事もプライベートも楽しいよね」と感じられる女性を増やしたいと語る。
この最終回で最も心を動かされるのは、AIを「生活の質を高めるツール」として自然に溶け込ませている点だ。忙しいワーキングマザーとしてのリアルな活用例は説得力があり、多くの読者に勇気を与えるだろう。
「ポジティブな側面に目を向ける」というメッセージは、AI時代をネガティブに捉えがちな風潮に対する明確なカウンターだ。技術が進化する中で、人間がどう前向きに生きるかが問われていることを改めて実感させる。
その3では、私生活での具体的なAI活用例と、篠原さんの温かみのある価値観・未来ビジョンが詰まっている。ぜひ、原文をお読みいただきたい。
04 ―――
総括
AI時代に輝くための記事3回を通じ、篠原さくらさんが一貫して伝えていたのは以下の3点だ。
- ・キャリアと私生活を両立させる「ネオバリキャリ」という明確な指針
- ・AIを過信せず、6〜7割のツールとして賢く使いこなす現実的な姿勢
- ・ネガティブに流されず、ポジティブな未来を自らデザインする力

篠原さん(左)と元TBSアナウンサーの笹川友里さんが
愛用のママチャリで…
AIは単なる効率化ツールではない。自分らしい生き方をデザインするパートナーとなりうる。篠原さんの言葉と実践は、その可能性を具体的に示してくれているのではないだろうか。忙しい日々を送る女性リーダー、AI活用を検討している経営者・管理職の方に、ぜひこのインタビューをおすすめしたい。
その1・その2
・その3
の3回で、新たな気づきとインスピレーションが待っているはずである。AI時代は、技術が人間の可能性を広げる時代だ。篠原さくらさんのように、自分と大切な人の人生をハンドリングしながら、前向きに生きる人が増えていくことを私たち編集部は心から願う。
篠原さんの人事経験とAI活用の関係
篠原さんの会社員の頃の人事経験は、現在のAI活用に非常に深く結びついている。以下にその関係性を整理したい。
1. 人事領域での「仕組みづくり」の視点が基盤
- ・新卒などの採用のほかに、人事制度設計、評価、定着など組織の仕組み全体を扱うコンサルティングに携わっていた。
- ・この経験から、「属人化の弊害」「情報共有の重要性」「再現性のある仕組み」を強く意識するようになった。
- ・AI活用では、まさにこの視点が生きている。
- → 会議議事録の自動作成・全社共有
→ 業務の属人化脱却
→ 「組織としての記憶」の蓄積
これらはすべて、「人が働きやすい仕組みをどう作るか」という思考の延長線上にある。
2.「内発的な動機を高める」人事ポリシーとAIの役割
篠原さんは一貫して「内発的な動機を高める」ことを人事の重要テーマに掲げている。社員が自らやる気を出して働ける環境づくりを追求した経験が、AI活用の目的意識に直結している。AIは「単なる時短ツール」ではなく、人が創造的な仕事に集中できる環境を作るツールとして位置づけられている。
ルーチンワークをAIに任せることで生まれた時間を、新規事業や価値創造、スタッフの成長支援に充てる――これはコンサルタントとしての視点そのものと言える。
3.「人間力・現場力」の重要性を知っているからこそのAIとの距離感
コンサル経験があるからこそ、篠原さんはAIの限界をよく理解しているとも言えるかもしれない。
- ・AIは制度設計や資料作成は得意だが、「現場の実情」「人間関係の機微」「経営層の意向のニュアンス」は読み取れない。
- ・だからこそ「AIは6〜7割」と割り切り、人間がチェック・修正・判断するプロセスを重視している。
このバランス感覚は実際に企業の人事課題に向き合ってきたからこそ、身についたものではないだろうか。
まとめ
篠原さんのAI活用は、「人事のプロ」としての経験が土台になっている。
- ・人事やコンサル時代 → 「組織の仕組み」と「人の動機付け」を考える
- ・現在 → AIをその仕組みづくりに最大限活用する
人事の経験がなければ、AIをここまで組織論的・人事的視点で深く活用することはおそらく難しかったのかもしれない。逆に言うと、人事の知見があるからこそ、AIを単なる便利ツールではなく「新しい人事改革の手段」として使いこなせていると言ええる。この点は、篠原さんの強みの中で特に際立った特徴の一つではないか。
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