第1回
いま注目される“組織風土の見える化”とAIスコア分析の力
従業員が幸せに働く職場はなぜ業績が伸びるのか?
2025/05/02
その疑問に、世界的な調査機関Gallup社の最新レポート『World Happiness Report 2025』が明確な答えを示しています。
今年のレポートでは、「信頼」や「善意」「社会的つながり」が人々の幸福度に大きな影響を与えるという調査結果が示されました。そして、こうした心理的要因は、職場における従業員エンゲージメントにも強く関係していることが、同じくGallup社のデータから明らかになっています。
エンゲージメントがもたらす経営的インパクトとは?
Gallupが世界135カ国以上を対象に行った調査によれば、エンゲージメントが高い従業員が多い組織では、以下のような明確な成果が見られています。
売上が18%高い
生産性が14%高い
顧客満足度が10%以上高い
離職率が最大43%低い
欠勤率が41%低い
これらの数値は、エンゲージメントが単なる“モチベーションの問題”ではなく、経営指標に直結する要素であることを示しています。従業員が「ここで働きたい」「この仕事に意味がある」と感じることが、結果的に企業の業績や社会的信頼の向上に直結するのです。
しかし、残念ながらGallup社のレポートでは、世界全体のエンゲージメント率はおよそ23%程度にとどまっており、日本においてはわずか5%という厳しい現状が報告されています。多くの従業員が「ただ与えられた業務をこなすだけ」の状態にあり、組織に貢献する実感や、仕事にやりがいを感じられていないのです。
幸福度を高める「信頼」と「善意」の文化
『World Happiness Report 2025』では、幸福度を高める要因として、経済や健康といった客観的指標だけでなく、「他者を信頼できるか」「助け合えるか」といった社会的要素が極めて重要であることが繰り返し強調されています。
実験的に行われた「財布の落とし物」調査では、多くの国で人々は他者の善意を過小評価していたことが明らかになりました。実際には7割以上の財布が返却されていたにもかかわらず、「戻ってこない」と予想する人が大半だったのです。
この「善意への期待」が人々の幸福度を大きく押し上げるという分析は、企業組織にも通じます。職場で“信頼”と“思いやり”が通い合う文化が育っているかどうかは、社員の心理的安全性や仕事への意欲、ひいては組織全体の成果にまで影響します。
では、エンゲージメントはどうやって可視化すべきか?
とはいえ、エンゲージメントや組織風土といった「見えない価値観」を数値で捉えるのは簡単ではありません。多くの人事部門では、サーベイ結果を読み解くのに苦労し、結局「満足度の平均値」や「離職率」などの周辺指標に頼ってしまいがちです。
この課題に対し、いま注目されているのが「ワークバリューのスコア化」というアプローチです。
ワークバリューとは、従業員が仕事に何を求めているか
たとえば「成長」「貢献」「安定」「裁量」「報酬」などの価値観を構造的に捉えたものです。個人と組織の価値観のズレや、職場ごとの文化の違いは、エンゲージメントを左右する重要な要因ですが、従来の方法では定量的に把握することが困難でした。
JOB Scopeの生成AIワークバリュー・スコア分析が実現する「組織風土の見える化」
私たちが提供するAIエンゲージメントサーベイは、生成AI技術を活用し、従業員の回答データからワークバリュー構造を自動的にスコア化・分析します。
このサーベイにより、以下のような洞察が得られます
エンゲージメントを下げている要因は「評価」「人間関係」?
現場と経営層の価値観ギャップはどこにある?
部署間で共有されていない暗黙の価値観とは?
離職が近い社員が抱えている内的葛藤とは?
従業員の声を単なる「満足・不満」の二択にせず、その背景にある心理構造や職場文化まで可視化することで、的確な打ち手を検討できます。まさに、組織風土のレントゲンと呼べる可視化技術です。
最後に:エンゲージメントは“資産”である
組織の成果を高めるうえで、エンゲージメントはもはや“あればいい”ものではなく、戦略的に育てるべき「資産」です。
Gallup社が示したように、幸福度が高い従業員は成果を生み、信頼と善意に満ちた職場文化は企業のレジリエンスを高めます。その基盤となるのが、「組織風土の見える化」と「継続的な内省と対話」です。
あなたの組織は、従業員の声と価値観を、どれだけ正確に捉えられているでしょうか?
まずは、AIによるエンゲージメント診断で、組織の“見えない課題”を可視化することから始めてみませんか。
『World Happiness Report 2025』とは、世界各国の幸福度とその要因を分析した年次レポートです。2025年度は「思いやり・共有」が中心テーマです。Gallup社のデータに基づき、他者への善意や信頼、社会的つながりが個人の幸福に強く影響することが示されています。特に「他者に親切にされると期待できる社会」は幸福度が高く、エンゲージメントや自殺率の低下にも寄与することが明らかにされています。レポートでは、幸福度の格差を減らすには、信頼・善意・社会参加を促す文化づくりが必要だと結論づけています。
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